「解像度を上げる」思考法 | 課題解決力とビジネス成果を一気に高める方法
仕事や日常生活の中で、「もっと具体的に考えて」と言われたことはないでしょうか?
この「もっと具体的に」というのは、言い換えると 「解像度を上げる」 ということです。
解像度を上げて物事を見ると、ぼんやりしていた課題や状況がはっきり見えるようになります。
すると、何をすべきかが明確になり、ムダな動きが減り、成果が出るまでのスピードも早くなるのです。
この記事では、「解像度を上げる」という考え方と、そのための具体的な方法をわかりやすく解説します。
初めて聞く方でも実践できるように、事例やステップを交えて説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 解像度を上げるとはどういうことかが理解できる
- 課題や解決策をより具体的にする4つの視点が身につく
- 実践できる行動ステップがわかる
- ビジネスや日常の意思決定が速く・正確になる
ビジネスにおける解像度とは?
ビジネスの現場では、「状況を正しく捉えられるかどうか」が成果を大きく左右します。
この“正しく捉える力”こそが「解像度」です。
たとえば「売上が落ちている」と聞いて、すぐに何をどう分析し、どこに打ち手を打つかを考えられるかどうか。
漠然と見えているだけの人と、細部までクリアに見えている人では、打つべきアクションがまるで違ってくるのです。
解像度が低い/高いとどうなる?
皆さん、「なんとなくわかった気になっていたけど、あとでまったく理解できていなかった」という経験はありませんか?
それがまさに「解像度が低い」状態です。ビジネスでは、ぼんやりとしか物事を見ていないと、判断ミスや戦略ミスに直結します。
たとえば、「売上が下がったから頑張ろう」とだけ考えるのは、解像度が低い思考です。
一方で、「売上が下がった原因は、既存顧客のリピート率低下であり、さらにその背景にはサポート対応の遅さがある」と見えていれば、対策はまったく変わってきますよね。
これが「解像度が高い」状態です。解像度が高い人は、問題の背後にある構造や要因をつかみ、再現性のある打ち手を考えます。だから結果も出やすく、信頼も得やすいのです。
同じ現象を見ても、解像度の違いによって「見えている世界」が違います。ぼんやりと全体が見えていても、「どこに課題があるのか」「どこから手をつけるべきか」がわからない状態では、時間も労力も無駄になりがちです。
逆に解像度が高いと、情報の粒度が細かく、論点がクリアになっていきます。
その結果、最短距離で成果につながる行動がとれるようになります。
この「解像度の高さ」が、あなたの思考の武器になるのです。
解像度を上げる4つの視点
解像度を上げるには、物事を細かく理解するための視点を意識的に使い分けることが有効です。ここでは特に重要な4つの視点をご紹介します。
1つ目は「深さの視点」。表面的にわかったつもりではなく、その奥にある仕組みや原理を掘り下げる視点です。
2つ目は「広さの視点」。1つの問題に対して、さまざまな要因や原因を幅広く考える力を指します。
3つ目は「構造の視点」。集めた情報を整理し、どれがどのように影響し合っているのかを把握する視点です。
4つ目は「時間の視点」。問題が発生した経緯や将来への影響を考え、プロセスや変化を捉える力です。
これら4つの視点を順番に解説していきます。
①深さの視点とは?
まず「深さの視点」です。これは、物事を表面的にではなく、細かな仕組みまで掘り下げて理解することです。
たとえば、美味しい料理を食べて「美味しい」で終わるのではなく、その料理がなぜ美味しいのかを考えるのが深さの視点です。
具体的に言えば、その料理にどんな食材が使われていて、どのような調理法で調理され、なぜその調理法を選んだのかまで分かっている状態が深さのある理解です。
ビジネスでも同じです。売上が落ちた場合に、「売上が落ちて困った」で終わらず、「どの商品が」「どの顧客層に」「なぜ売れなくなったのか」と深く掘り下げて分析することで、本質的な改善策にたどり着くことができます。
②広さの視点とは?
次に「広さの視点」です。これは、ひとつの問題を考えるときに、狭い範囲だけでなく広く、多面的に原因や要素を考える力です。
たとえば、「最近、醤油が美味しくなくなった」という問題に直面したとします。解像度が低い人は「品質が悪いせいだ」と単純に結論づけてしまいがちです。
しかし、広さの視点を持っている人は、原料の大豆の品質が変わった可能性、製造過程での発酵が不十分な可能性、保管中に酸化した可能性、消費者の味覚が変化した可能性など、さまざまな観点から原因を考えます。
多角的に考えることで、本当に問題になっている原因を的確に見つけ出すことができるのです。
③構造の視点とは?
3つ目は「構造の視点」です。深さや広さの視点で集めたさまざまな要素を、ただバラバラに並べておくだけでは役立ちません。
それらの要素がどのような関係性で結びつき、どれが最も重要なのかを見極め、意味のある形で整理する必要があります。
たとえば、新商品の売上が伸び悩んでいる場合に、「価格が高すぎる」「プロモーションが不足している」「商品の使い方がわかりにくい」などの要素が見えてきたら、それぞれを関連づけて整理します。
整理すると、たとえば「使い方が分からないために高価格が余計に気になる」という構造が見えてきて、まずは「使い方をわかりやすく説明するプロモーション」を強化するという戦略が立てられます。
構造を意識することで、具体的かつ効果的な行動計画が生まれるのです。
④時間の視点とは?
最後に、「時間の視点」です。これは物事を時間軸でとらえ、経時的な変化やプロセス、因果関係を理解する視点です。
たとえば、ある店舗で売上が急激に落ちたケースを考えてみましょう。
時間の視点を持つ人は、「売上が落ち始めたのはいつ頃か?」「その時期にどんな変化があったか?」「競合店がオープンしたのはその前か後か?」という流れを分析します。
こうして過去からの因果関係や変化を捉えることで、より的確な対策が見えてきます。
問題が起こった時点だけを見るのではなく、問題がどのような過程で生まれ、どこに向かっているのかという全体の流れを理解することが、質の高い意思決定を支えます。
まずは深さの視点から始めよう
ここまで4つの視点を紹介しましたが、最初に取り組むべきは「深さの視点」です。
なぜなら、多くの人が問題に直面した時に、十分に深掘りせず「なんとなく」わかったつもりになっていることが多いからです。
深さを掘り下げるということは、単に表面的な情報を鵜呑みにするのではなく、「なぜそうなったのか?」と何度も問い直し、本質に近づいていく作業です。
深さを徹底的に掘り下げることで、広さや構造、時間の視点で考える際にも、非常にクリアで具体的な思考が可能になります。
何の解像度を上げるのか?
ここまで「解像度」という考え方を学んできましたが、ではビジネスにおいて、いったい何の解像度を上げれば良いのでしょうか?
この章では、その焦点を明らかにします。結論から言えば、もっとも解像度を上げるべき対象は「価値」です。
価値とは、商品やサービスが人々にとってどんな意味や満足をもたらすか、ということ。
言い換えれば、「なぜお金を払ってでも欲しいと思ってもらえるか」です。
価値にはさまざまな形がある
「価値」と一言で言っても、その形はさまざまです。たとえばマクドナルドを例にとってみましょう。
お腹が空いていたら、美味しいハンバーガーやポテトをすぐに食べられるという「飲食サービス」としての価値があります。
しかし一方で、静かに仕事や勉強ができる場所として使う人にとっては、「安心できる空間の提供」が価値になります。
つまり、ひとつの商品・サービスでも、人によって受け取る価値は異なるのです。だからこそ、その価値を細かく捉えられる「解像度の高さ」が求められます。
価値は「課題×解決」で生まれる
価値というのは、基本的に「課題」と「解決策」が出会ったときに生まれます。
例えば、BtoC(個人向け)であれば、「夜に一人で不安になった時、話し相手がほしい」という課題に対して、チャットAIが答えることで安心感を提供できれば、それは価値になります。
BtoB(法人向け)であれば、「月末の請求処理が面倒すぎる」という課題に対して、経理業務の自動化ツールが解決すれば、業務効率という価値が生まれる。
つまり、「誰かが困っていること」×「それをどう解決するか」=価値の誕生なのです。
価値が大きいほど、報酬も大きくなる
生み出された価値が大きければ、より多くの人がそれにお金を払います。逆に、価値が小さければ、お金は集まりません。
だから、課題をしっかり特定し、解決策とのフィット度を上げていくことが重要です。
この状態をスタートアップの世界では 「プロブレム・ソリューション・フィット」 と呼びます。
大切なのは、「解決策を作ること」ではなく、「課題と解決策のマッチング精度を高めること」なのです。
市場の歪みがチャンスになる
市場には、需要と供給の“歪み”があるところにチャンスが眠っています。
たとえば、都心で働く人の「忙しくて買い物に行けない」という課題に対して、ネットスーパーや宅配サービスが成長したのは、まさにその歪みを捉えたからです。
新しいビジネスを始める際は、「不満が多いけど、まだ解決されていない分野」を探すのがポイントになります。
そこにこそ、新しい価値を創造する余地があるからです。
新規ビジネスだけでなく、既存ビジネスでも「課題」と「解決策」の解像度を上げることで、さらに価値を大きくできます。
たとえば、飲食店なら「メニュー改善」「スタッフの接客力向上」「SNS活用による集客」などが解決策の改善例です。
重要なのは、既存の枠の中で満足せず、常に“もっと良くできる”視点で課題と解決策を見直すこと。そうすることで、継続的な成長が可能になります。
次の章では、具体的に「課題」と「解決策」の解像度の上げ方に踏み込んでいきましょう。
解像度を上げる4つの視点を磨く方法
この章では、前のセクションで紹介した「解像度を上げる4つの視点」を、どうやって実践的に鍛えていくかを解説していきます。
その前に、土台として重要な「課題」と「解決策」の関係について整理し、なぜ解像度を上げる必要があるのかを再確認していきましょう。
ビジネスにおいて「課題」とは、顧客や市場が抱えている問題そのものです。特に重要で、本質的な課題のことを「イシュー」と呼びます。
良い課題を選べるかどうかで、生まれる価値の大きさは大きく左右されます。
だからこそ、課題の「解像度」を高めることが必要なのです。
価値は課題の大きさに比例する
例えば、東京の道端で「喉が渇いている人に水を売る」というビジネスを考えてみましょう。
近くにコンビニや自販機がある状況なら、どれだけ魅力的なボトルにしても、1本500円以上で売るのは難しいはずです。
なぜなら、解決すべき「課題」自体が小さいからです。つまり、解決策がどれほど優れていても、課題が小さければ生み出せる価値には限界があるということです。
大切なのは、どの課題を選ぶか。課題が明確で、その解決が難しくて深いものであればあるほど、解決できたときの価値は大きくなります。
逆に、どれだけ高性能な解決策を用意しても、解決する課題が小さいと、得られる価値も小さくなります。
だからこそ、まずは「課題の解像度を高めること」が、4つの視点を鍛える前提になるのです。
次は、良い課題の3つの条件について解説していきます。
良い課題の3つの条件
この章では、「良い課題の3つの条件」について解説します。課題選びはビジネスの成否を左右します。間違った課題を選んでしまうと、どれだけ努力しても成果が出ません。
ここでは、大きな成功につながる課題を見極めるための3つのポイントを順に見ていきます。
条件①大きな課題である
まず1つ目の条件は「大きな課題であること」です。
テストで例えるなら、100点満点のテストよりも、1兆点満点のテストに挑むほうが価値は大きくなります。
社会では、この「1兆点満点の課題」が現実に存在します。例えばテスラは「環境問題」という巨大な課題に対し、環境負荷の少ない電気自動車という解決策で挑みました。
課題の大きさは、「強度」と「頻度」で決まります。強度とは、課題が起きた時の痛みの大きさや失う金額。頻度とは、その課題がどれくらい頻繁に起きるかです。
大きな課題は、それだけ解決できた時の価値も大きくなります。
条件②合理的なコストで、現在解決できる課題
2つ目の条件は「合理的なコストで、現在解決できる課題であること」です。
どれだけ課題が大きくても、現時点の技術や資源で解決できなければ意味がありません。科学者ニュートンも、錬金術や不老不死の研究に多くの時間を費やしましたが、実現はできませんでした。
ビジネスでも同じです。IT開発で、技術的に不可能な要件定義をしてしまうと、どんなに努力しても完成には至りません。
理想は高く持ちながらも、「今の時点で解ける現実的な課題」を選ぶことが重要です。
条件③実績を作れる小さな課題に分けられる
3つ目の条件は「実績を作れる小さな課題に分けられること」です。
最初から大きな社会問題の本丸に挑むのは、コストも時間もかかります。制度や政策を変える必要がある場合は特に時間がかかります。
そのため、大きな課題を細分化し、短期間で解決できる小さな課題から取り組むことが大切です。
スタートアップの資金調達でも、アイデアだけで投資する人はほとんどいません。しかし、小さくても実績があれば信頼を得られます。
同様に、社会制度を変えるときも、小規模な成功事例があると、政治家や行政を動かしやすくなります。
まずは小さな成功を積み重ね、それを土台に大きな課題に挑むことを意識しましょう。
ビジネスにおける解決策(ソリューション)とは?
この章では、ビジネスにおける「解決策」について解説します。
解決策とは、課題を解決するための施策や打ち手、製品のことです。
どれだけ課題を正しく理解していても、解決策がなければ価値は生まれません。
また、解決策は既存のものを改善してより大きな価値を生むこともあれば、誰も気づいていなかった方法で新たに課題を解決することもあります。
ここからは「良い解決策の3つの条件」について見ていきましょう。
良い解決策の3つの条件
この章では、「良い解決策の3つの条件」について解説します。良い解決策には、この3つの条件が欠かせません。
1つ目は「課題を十分に解決できる」こと。2つ目は「合理的なコストで、現在実現できる」こと。3つ目は「他の解決策に比べて優れている」ことです。順番に解説していきます。
条件①課題を十分に解決できる
まず1つ目は「課題を十分に解決できる」ことです。以前もお話した通り、課題以上の価値は生まれません。
例えば、近距離の移動に音速ジェット機は不要です。車で十分です。
もし課題に対してオーバースペックなものを作ってしまうと、必要以上の開発費や運用コストがかかり、むしろ損失のリスクが高まります。
解決策は「必要十分」を意識することが大切です。
条件②合理的なコストで、現在実現できる
2つ目は「合理的なコストで、現在実現できる解決策であること」です。
どれだけ課題を解決できそうでも、コストが高すぎたり、技術的に実現不可能であれば意味がありません。
特に最新技術を使う場合、性能は魅力的でもコストやリスクが跳ね上がることがあります。
例えば、AIを使ったサービスは便利ですが、開発費・運用費・人材確保の面で高コストになることが多いです。
理想は高く持ちながらも、「今の時点で実現可能な解決策」を選ぶことが重要です。
条件③他の解決策に比べて優れている
3つ目は「他の解決策に比べて優れていること」です。
合理的コストの範囲内で実現でき、課題を十分に解決できる解決策が複数ある場合、選ばれるのは総合的に優れているものです。
例えば、飲食店で皿洗いをする場合、人を雇うのか食洗機を導入するのかは、最終的にはコストや効率のバランスで決まります。
ただし、性能やコストを追求するだけでなく、既存の代替品とは違う価値を生み出せる評価軸を探すことも有効です。
例えば、既存市場での評価基準を少しずらすことで、独自のポジションを確立できます。
競合と同じ土俵で戦ってしまうと、価格や性能での消耗戦になり、利益率が下がってしまいます。
そこで有効なのが、評価基準を少しずらすことです。
例えば、自動車市場では長年、馬力や燃費が主な評価軸でした。しかしテスラは“環境性能”や“自動運転機能”といった新しい軸を提示し、「未来のモビリティ」という独自のポジションを確立しました。
同様に、ブルーボトルコーヒーは価格やスピードではなく、豆の鮮度や店舗での体験を重視し、スタバやドトールとは違う顧客層を獲得しています。
このように、評価基準を少しずらすことで、既存市場の中にブルーオーシャンを作り出すことができます。
重要なのは、顧客が「そういえばこの価値は今までなかった」と感じるような新しい評価軸を見つけることです。
次の章では、「課題の解像度」と「解決策の解像度」を上げる具体的な方法を解説していきます。
深さの視点で解像度を上げる方法
この章では「深さの視点」で解像度を上げる方法について解説します。
深さの視点とは、表面的な情報ではなく、対象をより深く掘り下げて理解することです。
課題の理解と解決策の作り込み、両方において深さは非常に重要です。
深さの視点で課題の解像度を上げる方法①調査する
まずは「調査」です。インターネット検索では、1ページ目だけでなく、10ページ目まで見てみましょう。
浅い情報ではなく、複数の信頼できるソースを比較することで理解が深まります。
同じテーマの本も最低2冊は読み、異なる視点を得ることが重要です。
最近ではChatGPTなどを使ってテーマに関する深掘り調査を行うことも可能です。
深さの視点で課題の解像度を上げる方法②インタビューする
次に「インタビュー」です。
顧客がどんな行動をとり、どんな課題を感じているのかを直接聞きます。
新製品やサービスのアイデアを考える時には特に有効です。
営業担当が商談中に顧客の悩みを探るのも、実は立派なインタビューです。
質問は仮説を持って行い、相手の回答に応じて深く掘り下げることが重要です。
深さの視点で課題の解像度を上げる方法③現場に没入する
3つ目は「現場に没入する」ことです。
机上の情報だけでは気づけない課題は数多くあります。実際に現場に行き、観察し、自分の目で現象を確かめましょう。
可能であれば写真や動画で記録を取り、あとで振り返ることも大切です。
スタートアップの中には、創業者自らが顧客と同じ現場で働き、課題を肌で感じる例もあります。
特にITなどの新技術を扱う場合、現場経験から「この技術なら解決できる」課題が見えてくることがあります。
深さの視点で解決策の解像度を上げる方法①手を動かして考える
解決策の解像度を上げるには、実際に手を動かすことが欠かせません。
ブログを書く、動画を作る、簡易プロトタイプを作ってみるなど、作りながら考えます。
YouTubeの普及で若者の動画編集スキルが急上昇したのも、実際に作って発表する機会が増えたからです。
また、既存の製品を手に取り、「なぜこの形なのか」「なぜこの仕様なのか」を分析すると、製作者の思考を追うことができ、解決策への理解が深まります。
広さの視点で解像度を上げる方法
この章では「広さの視点」で解像度を上げる方法について解説します。広さの視点とは、視野を広げ、多様な選択肢や可能性を見出すことです。
狭い枠にとらわれていると、課題や解決策の本質を見落とす危険があります。広く考えることで、思いもよらない発見や革新が生まれます。
広さの視点で課題の解像度を上げる方法①前提を疑う
最初の方法は「前提を疑う」です。
これは、物事を「そもそも必要なのか」「そもそも何のためにあるのか」と問い直すことです。
私たちは普段、当たり前だと思っている仕組みや条件を、そのまま受け入れてしまいがちです。
しかし、その「当たり前」にこそ、新しいビジネスの種が隠れています。
例えば、レジ袋。長い間「買い物をしたら無料でもらえる」のが当たり前でした。しかし有料化により「本当に無料で配る必要はあるのか?」という前提が覆されました。
その結果、エコバッグ市場が急成長し、バッグメーカーや小売業に新たなビジネスチャンスが生まれたのです。
このように、固定観念を外すことで、全く新しい課題やビジネスチャンスが見えてきます。
広さの視点で課題の解像度を上げる方法②体験する
次の方法は、「体験する」ことです。
例えば、起業を考えている人の中には、競合のサービス名は知っていても、実際に使ったことがないケースが少なくありません。
また、旅をすることで、日常生活では出会えない文化や商品に触れることができます。
さらに、人と話すことで、自分では思いつかない視点や情報を得られます。こうした体験は、課題の新しい側面に気づくための貴重なきっかけになります。
広さの視点で解決策の解像度を上げる方法①使える道具を増やす
解決策の幅を広げるためには、「使える道具」を増やすことが欠かせません。
もし自分の武器が一つしかなければ、すべてをその方法で解決しようとしてしまいます。
しかし、複数の手段を持っていれば、課題の種類に応じて最適な解決策を選べます。
例えば、マーケティングでも、SNS運用しかできない人よりも、SEOや広告運用、オフライン販促など複数の手法を知っている人の方が、課題解決の幅が広がります。
広さの視点で解決策の解像度を上げる②探索に資源を割り当てる
最後は、「探索に資源を割り当てる」ことです。
毎日同じ仕事や業界にだけ触れていると、どうしても発想が固定されてしまいます。
そこで意識的に、普段は関わらない分野の本を読んだり、業界外のイベントに参加したりしてみましょう。
大きな本屋に行き、あえて普段手に取らないジャンルの本を選んでみるのも効果的です。
こうした探索は、偶然の発見や異業種とのつながりを生み、ビジネスの可能性を広げます。
構造の視点で解像度を上げる方法
この章では「構造の視点」で解像度を上げる方法について解説します。
構造の視点とは、物事をパーツや関係性に分解し、そのつながりや全体像を理解する考え方です。
課題や解決策を「ただの出来事」や「単なるアイデア」として捉えるのではなく、構造的に整理することで、新しい発見や改善策が見えてきます。
構造の視点で課題の解像度を上げる方法①アナロジーで新しい関係性を見つける
構造の視点で課題の解像度を上げる最初の方法は、「アナロジーを使うこと」です。
アナロジーとは、ある物事を別の物事に置き換えて考える方法です。
例えば、物流業界での配送ルート最適化に、アリがエサを探す行動パターンを参考にした事例があります。
自然界のアリは最短経路を見つける能力が高く、その仕組みをコンピュータのアルゴリズムに応用することで、大規模な配送ネットワークの効率化が実現されました。
このように、全く違う領域から構造を借りてくると、新しい解決策の糸口になります。
構造の視点で課題の解像度を上げる方法②構造のパターンを知る
2つ目の方法は、「構造パターンを知ること」です。
世の中の仕組みには、よく使われる構造のパターンがあります。
例えば、上下関係の明確なピラミッド型組織、資源や情報が循環する循環型の仕組み、分散してつながるネットワーク型などです。
こうした構造パターンを知っていれば、課題に出会ったときに「これはあの構造と似ているな」とひらめきやすくなります。
その結果、解決策の発想が広がり、より正確に問題を分析できるようになります。
構造の視点で解決策の解像度を上げる方法①解決策の構造はシステムとして捉える
解決策の構造は「システム」として捉えることが重要です。
システムとは、複数の要素が相互に関係し合っている全体像のことです。
例えば、ECサイトの売上改善を考えるとき、単に商品の値段を下げるだけではなく、サイトの集客、商品ページの魅せ方、在庫管理、物流、カスタマーサポートなど、複数の要素がどうつながっているかを整理します。
この全体像を構造として描くことで、どこを改善すれば最も効果が高いのかが見えやすくなります。
構造の視点で解決策の解像度を上げる方法②雑な構造から描き始める
構造を描くときは、いきなり細部まで完璧にしようとしないことがポイントです。
まずは大まかな構造図を描き、関係性や流れをざっくりと把握します。
その後、検証や追加情報に基づいて細部を詰めていくと、作業がスムーズになります。
例えば、ビジネスモデルキャンバスも最初は簡単なメモ程度から始め、徐々に精度を上げるのが一般的です。
この「粗く始めて、徐々に細かくする」やり方は、スピードと柔軟性を両立するために有効です。
時間の視点で解像度を上げる方法
最後に、時間の視点で解像度を上げる方法について解説していきます。
「時間の視点」とは、物事を静止画ではなく動画のように捉える考え方です。
ビジネス上の課題は、固定されたものではなく、時間とともに形を変えていく、いわば“ムービングターゲット”です。
たとえば、コロナ禍で人々の行動パターンが大きく変わり、それまで順調だった店舗ビジネスが一気に打撃を受けた事例があります。これは時間経過による外部環境の変化を見誤った典型例です。
時間の視点を持つことで、こうした変化を先取りし、より精度の高い課題設定や解決策設計が可能になります。
時間の視点で課題の解像度を上げる方法①変化を見る
最初の方法は「変化を見る」ことです。
ビジネス上の課題は固定されているように見えても、実際には時間とともに形を変えています。
例えば、コロナ禍によって飲食業界は一気にデリバリーやテイクアウト需要へとシフトしました。
こうした変化を早く捉えることで、課題の本質や将来の方向性を見誤らずに済みます。
時間の視点で課題の解像度を上げる方法②プロセスやステップを見る
次の方法は「プロセスやステップを見る」ことです。
課題は一気に発生するのではなく、複数の段階を経て表面化します。
例えば、製造業の品質不良の原因を探る場合、設計→部品調達→組立→検査という工程の中で、どの段階で不具合が生じているのかを切り分けて分析します。
この視点があれば、対策の的を絞り、効率的に解決策を導き出せます。
時間の視点で課題の解像度を上げる方法③歴史を振り返る
3つ目の方法は「歴史を振り返る」ことです。
課題はある日突然発生したように見えても、必ず背景や経緯があります。
例えば、スマートフォンの充電ケーブルの形状が統一されつつある背景には、過去にメーカーごとに形や規格がバラバラだった歴史があります。
この不便さや環境負荷の議論を経て、USB Type-Cなどの共通規格に集約されてきました。
こうした経緯を知れば、単に「形が統一された」という事実だけでなく、「なぜそうなったのか」という本質を理解でき、将来の変化も予測しやすくなります
時間の視点で解決策の解像度を上げる方法①最適なステップを見出す
解決策を考えるときの最初のポイントは「最適なステップを見出す」ことです。
いきなりすべての分野をカバーしようとせず、小さな範囲から始めて課題を一つずつ解決しながら広げていくことで、リスクを最小限に抑えられます。
例えば、アマゾンは創業当初から世界中のあらゆる商品を売っていたわけではありません。最初は「オンラインで本を買える」という一点に絞り、その中で品揃えや配送の仕組み、顧客体験を磨き上げました。
そして本で培ったノウハウを応用し、CDや家電、生活用品へと少しずつ取り扱い商品を拡大していきました。
このように、小さく始めて着実に成果を積み上げることが、最終的に大きな成功につながります。
また、「計画を立てる」ことも有効です。
アイゼンハワー元大統領は「計画には価値がないが、計画することは役に立つ」と語っています。
ここでのポイントは、計画を立てることそのものが、解決策の解像度を高める行為だということです。
どの順序で、どの規模で、どんな手段で進めるのかを具体的に描くことで、漠然とした構想が実行可能な道筋へと変わります。
まとめ:解像度を上げれば成果は大きく変わる
ビジネスや新しいアイデアづくりでは、「解像度を上げる」ことが成功への近道です。
解像度とは、課題や解決方法をどれだけはっきりと理解できているかを表す言葉。
ぼんやりとした状態で進めても、見える景色はぼやけたままです。
逆に、解像度が高まると、次に何をすべきかが明確になり、効果的な行動につながります。
良い課題を見つけるには、大きな価値があり、今の力で解決でき、小さく分けられるものを選びます。
良い解決策は、課題を十分に解決でき、無理のないコストで、他よりも優れていることが条件です。
そのために役立つのが4つの視点です。
深さの視点:調べる、現場を見る、実際に作ってみる
広さの視点:前提を疑う、多くを体験する、道具や方法を増やす
構造の視点:仕組みやパターンを理解する、ざっくり描いてから精度を高める
時間の視点:変化を見る、過去から学ぶ、進むステップを計画する
重要なのは、いきなり完璧を目指さないこと。まずは小さく試し、結果を見ながら改良し、少しずつ規模を広げていくことです。
4つの視点を組み合わせることで、課題も解決策もよりクリアに見え、成果が出やすくなります。
「解像度を上げる」ことは、日々の仕事だけでなく、キャリアや人生の選択にも応用できます。
今日から、あなたの課題やアイデアに、この考え方を取り入れてみてください。
